【報告】慶應義塾大学S.A.L.の皆さんのスリランカ滞在後記
報告概要
慶應義塾大学公認学生団体S.A.L.の皆さんが、インド・スリランカスタディツアーの一環として、2026年の春休み期間を利用しスリランカを訪問されました。
事前にご相談をいただき、当会のプロジェクトとの交流が実現。アプカスのコロンボ事務所に加え、紅茶農園で働いていた人々が暮らしていた歴史的長屋を拠点にタミル文化の体験ツーリズムを提供しているバウラーナ村にも滞在していただきました。
本ページでは、スリランカ国内での滞在日程と、学生の皆さんによる滞在後記をご紹介します。

スリランカ滞在日程
■ コロンボ(UNICAL KIDS GARDEN/ホームステイ)
3月8日〜3月9日
・コロンボ到着
・幼稚園ホームステイ
■ コロンボ市内(Centre Point Apartment)
3月10日〜3月13日
・市内滞在
・アポイント訪問

■ キャンディ(Mango Grove Cottage Families/バウラーナ村)
3月14日〜3月15日
・キャンディーへ移動
・バウラーナ村ホームステイ



■ ダンブッラ(シーギリヤ周辺B&B)
3月16日〜3月17日
・ダンブッラへ移動
・シーギリヤロック観光
■ ジャフナ(Spacious Full House Rental)
3月18日〜3月20日
・ジャフナへ移動
・アポイント訪問
■ 出発
3月21日
・ジャフナよりインドへ出発
■ 慶應義塾大学公認学生団体S.A.L.について
慶應義塾大学公認学生団体S.A.L.は、国際協力や社会課題に関心を持つ学生が集まり、スタディツアーや現地での活動を通じて、実践的に学びを深めている学生団体です。
国内外でのフィールドワークや交流を重視し、現場に足を運びながら多様な価値観に触れることを大切にしています。
▶ 詳細はこちら
https://www.salkeio.com/about
スリランカ滞在の感想

バウラーナでの生活は、日本の生活とは大きく異なっていましたが、想像していたよりも快適だったというのが正直な感想です。バウラーナを訪れる前に2か所に宿泊しましたが、スリランカの中でもコロンボではお湯が出てコンロもある一方で、別のホームステイ先では水は出るものの、かまどで料理をしており驚きました。
そのような経験があったため、より山間部にあるバウラーナではさらに不便な生活を想像していました。しかし実際には、蛇口をひねれば水が出て、コンロも使用されており、当初の想定よりもはるかに整った生活環境でした。
また、現地の方々の生活は、日本よりもむしろ充実しているように感じました。美しい朝日から一日が始まり、通学路にはハイビスカスが咲き、夜には見たことのないほど多くの星が空に瞬いていました。多くの家庭を訪問させていただく中で、小さな子どもがミニカーに乗って遊んだり、クリケットを楽しんだりしている様子を目にしました。日本では子どもが動画などに夢中になる場面も多い一方で、バウラーナでは大人も子どもも一体となって遊んでおり、自分が日本で凝り固まった価値観に縛られていたことに気づかされました。
さらに、ヒンドゥー教の儀式にも参加させていただきました。終始厳かな雰囲気の中で行われ、特にご高齢の方々が熱心に祈る姿が印象的で、宗教が人々の心の拠り所となっていることを実感しました。振る舞っていただいたフルーツや食事もとてもおいしく、温かいもてなしに感動しました。
また、小学校も訪問させていただきました。日本人が描いた壁画を誇らしげに紹介してくださる姿が印象的で、こちらまで嬉しい気持ちになりました。シーソーなど、日本ではあまり見かけなくなった遊具があるのも興味深かったです。
事前に調べた情報から、エステート・タミルの人々はタミル人の中でも差別されているのではないかと誤解していました。しかし実際には、彼らはインドにルーツを持つことに誇りを持ち、それぞれの形で豊かな生活を送っているのだと感じました。
最後に、短い期間ではありましたが、大変温かく迎えてくださったバウラーナの皆様、そして石川さんに心より感謝申し上げます。
梅田玲奈さん

初日の夜遅くに到着した私たちを、温かく迎えてくださいました。サリーを持っていることを伝えると、着付けをしてくださり、家族の伝統行事にも参加させてくださいました。
また、ヘナタトゥーがとても美しく、「素敵ですね」と伝えると、「やってあげようか?」と気さくに声をかけてくださり、とても嬉しかったです。
子どもたちとも仲良くなることができ、最終日には、私の絵とともに手紙を渡してくれた子もいました。
大自然の中で、人々の温かさに触れることができた、忘れられない経験となりました。
飯田カンナさん


バウラーナは、旅での休息地点のような場所でした。街から1時間半ほど、細々とした道が途切れる場所にあるこの村は、明らかに他の都市と違う空気が流れています。
剥き出しの自然とチャイの香りで目覚め、活力あふれる子供達と遊び、裸足で泥の上を散歩し、数え切れないほどの星空を眺めて眠る。日本では味わえない、ゆったりとした時間の流れを感じることができました。
村の方々は笑顔で私たちを迎えてくれて、毎日3食のおいしいご飯と数回のティータイムでのおいしいチャイを振る舞ってくださいました。バウラーナで食べたカレーは、誇張なく、スリランカで一番おいしい食事でした。
今回の滞在は3日間だけでしたが、いつか1週間ほど村の方と一緒に過ごしたいと思います。今回はこのような素晴らしい体験をご紹介してくださりありがとうございました。
山口駿太郎さん

インターネットもつながりにくい山の奥。周りには観光地はなく、予定もない。だからきっと、することもないのだろう。そんなふうに思っていました。けれど実際には、そんなことは全くなく、バウラーナ村で過ごした2日間は、のんびりとしながらも、飛ぶように過ぎていきました。
朝は目覚めてすぐにお隣さんの庭へ行き、日の出を眺めることから始まります。ティータイムにお茶を入れてもらい、道路でクリケットをし、子どもたちとはお絵描き大会。夜になると、満天の星空と、それに負けないくらい光る蛍を眺めました。そんな時間を通して、そこで暮らす人々の日常の一部に、少しだけ触れられたような気がします。
それだけではありません。お祝いのときに使うヘナでタトゥーを描いてもらったり、タミルの文化に合わせてサリーを着付けてもらったりと、特別な体験もさせていただきました。さらに、一年に一度のヒンドゥー教の家族の集まりに参加させていただいたことは、本当に貴重な経験でした。
村の皆さんはとても温かく迎えてくださり、たくさんの交流を持つことができて嬉しかったです。なかでも、ホスト代表のプニータさんは、わずか数日間とは思えないほど親しく接してくださり、まるで昔からの友人のように、私たちのおふざけにも笑顔で付き合ってくれました。
バウラーナ村での日々には、切り取って残しておきたい瞬間がいくつもあり、本当にかけがえのない時間を過ごすことができました。これからもずっと忘れずにいたいです。
原聖奈さん

満天の星空と蛍、絶景の朝日、村の人たちとのダンスなど一瞬の景色として一生忘れない思い出を作ることができました。
特に印象的だったことは現地の人々の暮らしの豊かさです。美しい朝日とともに一日が始まり、通学路にはハイビスカスが咲き、夜には満天の星が広がる、そのような自然に囲まれた生活の中で、人々は穏やかに日々を過ごしていました。家庭を訪問すると、子どもたちはミニカーで遊んだりクリケットに興じたりし、大人も一緒になって楽しんでいる姿が見られました。日本では子どもがデジタル機器に夢中になる場面も多い中で、このような光景は新鮮であり、自分自身の固定化された価値観を見直すきっかけとなりました。
また、ヒンドゥー教の儀式にも参加する機会を得ました。厳かな雰囲気の中で、とりわけ高齢の方々が熱心に祈る姿が印象的で、宗教が人々の精神的な支えとなっていることを強く実感しました。振る舞っていただいたフルーツや食事も非常に美味しく、心温まるもてなしに深く感動しました。
小学校の訪問も心に残っています。日本人が描いた壁画を誇らしげに紹介してくださる姿が印象的で、こちらまで嬉しい気持ちになりました。また、シーソーなど日本ではあまり見かけなくなった遊具が残っている点も興味深く感じられました。
事前の調査では、エステート・タミルの人々がタミル人の中でも差別されているのではないかという印象を持っていました。しかし実際には、彼らはインドにルーツを持つことに誇りを抱き、他者と比べるのではなく、自分たちの暮らしに誇りを持ちながら、それぞれの形で充実した生活を送っていることが伝わってきました。
短い滞在ではありましたが、バウラーナ村での経験は、自分の価値観を見つめ直し、生活の豊かさとは何かを考えさせてくれるものでした。最後に、温かく迎えてくださったバウラーナの皆様、そして石川さんに心より感謝申し上げます。
久米邦治さん
アプカス代表石川からのコメント

S.A.L.の皆さんは、自分たちで計画を立て、事前に連絡をくださり、実際に現地まで足を運ばれました。その行動力がまず印象的でした。最近の若者は受け身だと言われることもありますが、今回の皆さんを見ていると、むしろ自分たちで関心を持ち、調べ、動いていく力を強く感じました。
バウラーナでの滞在についても、皆さんがとても自然に村の生活に入っていったことが印象に残っています。観光地を訪れるだけではなく、村の家に泊まり、食事を共にし、子どもたちと遊び、地域の人たちと同じ時間を過ごす。その中で、単なる見学では得られない学びがあったのではないかと思います。
バウラーナ側にとっても、こうした受け入れは大切な機会です。外から来た若い人たちと交流することで、村の人たち自身が自分たちの暮らしや文化を見つめ直すきっかけにもなります。また、食事や滞在の受け入れを地域の方々に担っていただくことで、ささやかではありますが、地域の収入にもつながります。
今回、一部ではホームステイのような形での受け入れも行いました。今後は、より多くの学生がそれぞれの家庭に滞在し、農村の暮らしやタミル文化に触れられるような形も考えていけると思います。観光地を巡るだけではなく、人の暮らしの中に入っていくことで、スリランカの見え方は大きく変わります。
S.A.L.の皆さんが感じてくれた「何もないと思っていた場所に、豊かな時間があった」という気づきは、とても大切だと思います。便利さや物の多さだけでは測れない豊かさ、地域の人との関係性の中にある温かさ、自然とともにある生活のリズム。そうしたものに触れることが、スタディツアーの大きな意味だと思います。
関連する取り組み
■ 負の建築資源を活用した地域ツーリズム振興(建築分野)
【概要】衰退した紅茶農園地域の再生を目指し、歴史的建築資源を活用した地域循環型ツーリズムモデルを構築
【背景】スリランカ中央高地のバウラーナ村では、紅茶農園の閉鎖以降、プランテーション労働者(主にタミル人)の生活基盤が弱体化し、貧困と人口流出が進行しています。築100年以上の歴史的長屋(Line House)は維持管理が困難となり、空き家や未修繕家屋が増加するなど、建築資源が「負の資産」と化す状況が続いています。
【目標】歴史的建築資源を地域経済の再生装置へと転換し、居住者と来訪者をつなぐ持続可能な地域ツーリズムモデルを構築することを目標としています。建築再生を通じて、文化継承と生活向上を同時に実現することを目指しています。
【事業展開】日本の建築専門家(京都大学 前田研究室)と連携し、旧紅茶農園長屋(Line House)を地域ツーリズム拠点として再生。居住者や近隣住民と協働しながら、紅茶摘み体験や生活に根差したタミル文化体験を含む滞在型プログラムを設計しています。得られた収益は長屋の維持管理や地域活動へ還元し、建築保存と地域経済循環を両立する仕組みを構築しています。単なる保存ではなく、「活用による保存」を軸とした研究×実践モデルです。
【活動キーワード】歴史的建築再生/Line House再生モデル/負の建築資源の転換/地域循環型ツーリズム/タミル文化継承/参加型建築再生/滞在型体験設計/文化資源活用型地域開発
■ 日本の大学生×アプカス インターン等の取り組み紹介

日本の高校生や大学生の皆さんが、インターン研修やスタディツアーの視察先として、アプカスの国際協力活動やソーシャルビジネスの現場に足を運んでくださっています。
現地での体験や交流を通じて、それぞれが新たな視点や価値観に触れ、自分自身のこれからを考えるきっかけとなるような機会を提供しています。


