【記事】千葉・山武市にスリランカ人が急増、10年で13倍に…児童生徒の1割超える学校も/読売新聞オンライン
2023.03.20
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230318-OYT1T50067/
経済危機を背景にスリランカからの移住者が急増している千葉県山武市の小中学校で、日本語ができない子どもへの教育が課題になっている。市は学校に日本語教室を開設しているものの、授業を十分に理解できない子どもも多く、城西国際大(東金市)の学生が日本語学習の支援に乗り出している。(長原敏夫)
山武市内の教育施設で2月22日夕、城西国際大の学生が、水泳や一輪車のイラストを掲げて「泳ぎます」「乗りました」と発声すると、スリランカの子どもたちが復唱した。
学生たちは、国際人文学部の林千賀教授のゼミで、日本語の教え方などを学ぶ3年生18人。月1回、ボランティアで交流会を開き、子どもたちの日本語学習をサポートしている。
山武市に住民登録するスリランカ人は、2013年4月の57人から750人(2月末現在)まで増えた。いずれも「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」などの在留資格で来日している。元々、中古車などを扱うヤードで働くスリランカ人は多かったが、最近は単身で来日した人が経済危機によって政情も不安定化した母国から家族を呼び寄せるケースが増えているという。
こうした現状に伴い、市内の小中学校に通うスリランカ国籍の子どもの数も、21年3月の20人から71人(同)に増加した。同国籍の児童生徒が1割を超える学校もある。
市は昨年4月から小中学校3校に日本語教室を開設し、滞在歴が長いスリランカ人らを支援員として日本語を教えている。この取り組みを進めるにあたってアドバイスをもらっていたのが林教授で、昨年夏からは学生による日本語指導も始まった。
この日の交流会では、「犬」「豚」「顔」などの漢字を使ったビンゴゲームを行った。カタカナ学習の一環でカルタにも興じ、学生の一人が「食べるのタ」と読み上げると、子どもたちは学生たちと一緒に「タ」と書かれた絵札を取り合った。学生たちは「学んでいるという意識を持たせずに日本語を身につけさせることを重視している」と話す。笑いや歓声が飛び交う中、1時間半の交流会の時間はあっという間に過ぎていく。
昨年夏は「ハロー」と英語であいさつしていた子どもが、今では「次はいつですか」と日本語で尋ねてくるようになった。日本語ができなかった送迎の母親からも「ありがとう」という言葉をかけられるという。
交流会で司会を務める学生(21)は、「言葉の壁を崩していけると思えるようになった」と手応えを感じ、日本語教員になることを目指している学生(21)は、「少しずつ日本語が話せるようになっていく子どもたちを見ると、やりがいを感じる」と話した。
スリランカの政治と経済の混乱が続き、先が見通せないため、海外に活路を求める人々が増えています。日本でも、スリランカ人の移住者が増えている印象です。日本語学習について大学や日本滞在歴の長いスリランカ人支援がある事例でしたが、地方都市などの場合はさらに孤立化しやすいと思いますので、できるだけきめ細やかなケアが望まれます。