【報告】スリランカインターンで得た成長と学び 戸澤さん

1. 現場で初めて気づいた“ギャップ”
スリランカでのインターンは、これまで自分が思い描いていた将来像を良い意味で壊し、新しい視点を得られた時間でした。
「日本人として海外で貢献する」という目標を持って参加しましたが、実際の現場に立ってみると、自分の考えの甘さと現実との距離をはっきり感じることになりました。
インターンは自由度が高く、誰かから明確な役割を与えられるわけではありません。
自分で課題を見つけ、計画し、行動しなければ何も進まない環境です。最初の数日は立ち位置がつかめず、時間をうまく使えないもどかしさもありました。
それでも、この「自由さ」こそが、自分自身で動く大切さを気づかせてくれました。
2. 試行錯誤の連続だった毎日
活動の中で、私自身が陸上の運動経験があったので、視覚障害のある方々(Thusare Talking Handsで働く14名の指圧師たちのストレッチ運動の定着)の生活習慣改善を目的に、簡単な体操を取り入れる取り組みに挑戦しました。
言葉がうまく伝わらず、相手の見えにくさもあって、腕の動かし方や体の連動を覚えてもらうのは簡単ではありませんでした。
運動部での経験を頼りに工夫しながら毎日繰り返したものの、最後まで“これで完璧”と思える成果には到達できませんでした。
それでも、昨日より少しスムーズに動けるようになった姿を見た瞬間、小さな変化がこんなにも嬉しいのかと実感しました。
また、自分で現地の人に話を聞きに行き、必要な情報を集めながら動き回るうちに、現場への理解も深まっていきました。
3. 無力さを知り、進みたい方向が見えた
このインターンを通して、「与えられた枠の中で動く力」ではなく、「課題を発見し、自分で行動する力」を養えたと感じています。
自由と責任が常にセットであることを体で理解できたのは、大きな学びでした。
インターン前は、個人として直接支援する仕事に強い関心を持っていました。
しかし今は、社会の仕組みそのものを通じて人々の生活を支える役割にも興味が広がっています。
スリランカで感じた“無力感”は、自分の限界を知ったという意味では痛みでもありますが、同時に「もっと構造的な課題解決に関わりたい!」という新しい意欲につながりました。
社会課題は一人では解決できないからこそ、制度やシステムの側から支えられる存在になりたい。
今回の経験は、その方向を考える大きなきっかけになりました。
4. インターン生紹介:戸澤勇羽さん
今回インターンとして参加した 戸澤勇羽(とざわ ゆう)さん は、中央大学の学部3年生。
応募時のメールでは、次のような思いを寄せてくれていました。

● インターンを希望した理由
自身からWEBのメールフォーム経由でコンタクトをいただきました。
大学の授業を通じて、スリランカの多民族・多宗教社会、そして内戦の歴史に触れ、
「文献だけでは分からない“現地のリアル”を体感したい」という強い意欲を持って参加しました。
スリランカが抱える社会課題や、そのアプローチを自分自身の目で確かめたいという問題意識が背景にありました。
● インターンで経験したいこと(開始前の希望)
多様なバックグラウンドや宗教観を持つ現地の人々と生活を共にし、
幅広い年齢層の人と接することで、スリランカ社会の複雑さを深く理解したいと考えていました。
● 滞在期間
2025年9月
5. 受け入れ指導者からのコメント(石川)
自由度を高くしている理由について
自由度を高くしている背景には、現場の「リアルな事情」と、それを逆手に取った「意図的な仕掛け」の双方があります。
アプカスでは複数のプロジェクトを同時に進めており、私自身も動き回っているため、インターン生へ私から全てを細かくレクチャーすることは、なかなか難しい現実があります。
しかしこれは“放任”ではなく、“自ら動き出す力を育てるための設計” でもあります。
開発課題の現場に正解のマニュアルはありません。
その中で本当に必要とされるのは、自ら課題を見つけ、考え、行動する力(主体性)です。

明確な指示のない環境で戸惑い、やがて動き始める——
そのプロセスを経た彼のレポートから、この意図が伝わったことを嬉しく思います。
「制度や仕組みで解決する必要性」について
この視点を得てくれたことは、非常に大きな成果だと感じています。
多くの学生は「目の前の人を助けたい」という想いから現場に入りますが、そこで個人の限界に直面します。
この“無力感”は痛みであると同時に、支援の本質へ近づく入口でもあります。
私自身も活動の中で、
「一時的支援だけでは社会は変わらない」という現実を突きつけられ、
ソーシャルビジネスなど「仕組み」で解決する方向へ舵を切ってきました。

彼がこのインターンで個人支援 → 構造的アプローチへと視座を高めたことは、今回の研修の中でも特に大きな成果のひとつです。
6. 総括:戸澤さんが残したもの・得たもの

1. 取り組んだこと
- 視覚障がいのあるスタッフへの体操指導
- 言語・視覚の壁を越えるためのコミュニケーションの工夫
- ホステルの引越し作業
- ペラデニヤ大学とのワークショップ参加



2. 現場に残したもの
- 見えない相手へ伝えるための工夫
- 運動習慣の小さな定着
- 現地スタッフとの信頼関係
3. 最大の意義
『無力感を通じて視座が劇的に上がったこと。』
ペラデニヤ大学の学生から受けた刺激も大きく、
“仕組みで社会課題を解決する” という方向性をより強く確信した研修になったと感じています。


