【報告】2020年プロジェクト報告(農業分野)

2020年プロジェクト成果

 コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月下旬にスリランカ全土でロックダウンが発令され、その後、4月、5月と継続されました。その後、感染者が多く発生したコロンボを含む西部州限定で外出禁止令が継続されることなり、移動制限、出社人数の制限等、様々な制限がかかる中、経済活動が停滞し、当活動にとっても非常に厳しい状況が続きました。ロックダウン中は全ての公共交通機関がストップし、今まで使用していた輸送手段がほぼ使えない状況となりました。そのため、独自にトラックを借り上げ、自ら輸送するしか方法がなくなった時期もありました。その際にも、政府当局から出される許可証が必要となり、この許可を出す機関も警察、郡の事務次官オフィス、県の事務次オフィス、公共ヘルス事務所に短期間ですぐに変わるため、その対応に右往左往する結果となりました。また、気候の急激な変化により大きな打撃を受けることが近年増えているため、生産地の分散に加え、各農家でこれらのリスク管理をどのように行うかが課題となっています。

1.零細農民の生計向上支援

 契約農家数の増大と共に栽培地域が増えたことで、より安定した生産基盤が出来上がりつつあると考えています。地域的に見ると、アヌラーダプラ、プッタラマ、キャンディ、ヌワラエリヤ、バドゥッラ、モナラーガラ、ハンバントタ、コロンボの8県において生産がされており、天候・病害虫・輸送問題等のリスクも分散され、安定的な供給が可能となりました。小規模農家も上記の各県に分散していますが、栽培技術が定着したこと、どの作物をどのくらい販売できるかが理解できてきたこともあり、各農家からの供給量も比較的安定してきました。

2. 農産業の組織化・ブランド化支援

 今期は野菜パウダー、カシューナッツ、蜂蜜レモン、ライムピクルスの新製品をKenko1stブランドとして販売開始しました。さらに、搾りたて野菜ジュース、調理惣菜も数種類販売を開始し、野菜、果物の廃棄量を減らす取り組みを進めました。顧客への野菜の配送に関しても、自社配送だけでなく、スタッフの不足や感染リスクの軽減効果も考慮し、オンラインショップの購入者への配送を代行してくれる「Pick Me(ウーバーイーツのスリランカ版)」との連携を開始しました。
 また、8エーカー(約3ヘクタール)の自家農場では、多品目の栽培を続けています。特に付加価値の高い作物として、ブロッコリー、カリフラワー、ズッキーニ、ナス等を集中的に栽培しましたが、ちょうど収穫時期となった4月~6月がロックダウンの影響で作物の輸送が出来ず、地元キャンディのお店に販売するしかなくなってしまいました。当然、地方都市では需要がない野菜であるため、非常に安く販売するしかない状況でした。ロックダウン解除後、新たにグリーンハウス(日本のようなビニールハウスではなく、メッシュを全面に張ったネットハウス)での試験栽培も開始しました。今後さらに付加価値の高い有機農産物の栽培を連携先と模索したいと考えています。
 さらに包材についても、Kenko1stブランドの構築のためには、ビニール袋を使わない方向性を今後もきちんと打ち出すことが重要であるとの判断から、デザイナーの谷本氏にも参加してもらい、パッケージデザインの再検討を行いました。包材業者とも協議や試作を何度も繰り返し、ドットが配置されたオリジナルデザインの紙袋の完成に至りました。

3.有機肥料の生産と供給

 前年同様。詳細は、環境保全の活動ページで紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA