APCASの歩み|国際協力とソーシャルビジネスの20年の実践

APCASは2005年の災害支援を原点に、スリランカを拠点として活動を続けてきました。
現在は、農業、障がい者雇用、伝統医療、建築再生、環境技術など、複数分野にわたるソーシャルビジネスを展開しています。
単発的な支援にとどまらず、地域の社会構造や経済背景を踏まえた持続可能な仕組みづくりを重視し、
現場での対話と継続的な改善を積み重ねながら取り組んでいます。

●地域開発(スリランカ)

循環型農業の普及とブランド構築(農業分野)

循環型農業プロジェクト|オーガニック農産物と加工品

【概要】小規模農家の所得向上を目指し、生産・加工・販売を一体化した循環型農業モデルを構築

【背景】スリランカでは紅茶などの輸出作物が主要産業ですが、小規模農家は中間業者依存や資材高騰、気候変動の影響により不安定な経営を強いられています。持続可能な営農体制の構築が大きな課題です。

【目標】農作物栽培から加工・販売までをつなぐ地域内循環モデルを通じて、農家の所得安定と地域経済の自立的な循環を実現することを目指しています。

【事業展開】APCASは「循環型農業」を軸に、有機肥料づくりや営農改善、食品加工技術の普及に取り組んできました。2018年には「Kenko 1st Organic」を立ち上げ、生産・加工・販売を結ぶ仕組みを構築。現在は100農家以上と連携し、約400品目を展開、2022年からは日本への輸出も開始しています。

【活動キーワード】循環型農業/有機肥料製造/コンパニオンプランツ活用/小規模農家の営農改善/農家ネットワーク形成/6次産業化(加工・販売)/オーガニックブランド構築/輸出連携

アーユルヴェーダ植物原料を活用したソーシャルビジネス(伝統医療分野)

アーユルヴェーダ資源活用プロジェクト|ハーブ原料と健康商品開発

【概要】農村部や女性の所得向上を目指し、伝統医療資源を活用した高付加価値型ソーシャルビジネスモデルを構築

【背景】2022年以降の経済危機により、スリランカでは外貨不足や物価高騰が進み、農村部の生計基盤は不安定化しています。一方で、同国には長い歴史を持つ伝統医療「アーユルヴェーダ」が根付き、多様な薬用植物資源と知識体系が存在します。しかし、原料生産は小規模農家に依存し、付加価値化や国際市場への展開は十分に進んでいません。

【目標】生産農家、加工事業者、アーユルヴェーダ専門家、研究機関と連携し、伝統医療資源を活用した高付加価値型ソーシャルビジネスモデルを構築すること。農村部の所得向上と持続可能な原料供給体制の確立を目標としています。

事業展開】ハーブ・植物原料の生産から加工、商品開発、販売までを結ぶネットワークを形成。ペラデニヤ大学研究者やアーユルヴェーダ医師と連携し、植物原料の機能性評価や成分測定を行いながら、体質診断の考え方を応用したハーブティー・健康関連商品の開発を進めています。オリジナルブランド「AyuBe」として日本市場での展開も開始し、伝統知と現代的商品設計を融合させた事業モデルを構築しています。

【活動キーワード】アーユルヴェーダ資源活用/薬用植物の契約栽培/機能性評価・成分分析/持続可能な原料供給体制/体質診断応用商品設計/高付加価値化モデル/日スリランカ研究連携/国際市場展開

視覚障がい者の指圧師養成と指圧院の運営(障がい者分野)

 

Thusare Talking Hands|視覚障がい者による指圧施術

【概要】視覚障がい者の職業的自立を目指し、専門職育成と自立運営を両立する就労モデルを構築

【背景】スリランカでは視覚障がい者の多くが貧困層に属し、教育機会や専門職訓練へのアクセスが限られています。障がいと貧困が重なり、安定した就労機会の不足や社会的孤立が深刻な課題となっています。

【目標】視覚障がい者が専門職として安定的に働くことのできる仕組みを構築し、職業的自立と社会参加を両立させる持続可能な就労モデルの確立を目標としています。あわせて、養成施設の整備や資格制度の制度化(国家資格化)を視野に入れ、専門職としての社会的認知と教育基盤の確立を目指しています。

【事業展開】2013年、視覚障がい者が働く指圧サロン「Thusare Talking Hands」をコロンボ中心部に開設。社会福祉省や眼科医、笹田三郎氏をはじめとする日本の指圧専門家と連携し、技術研修、カリキュラム整備、教材開発、語学トレーニングを体系的に実施してきました。2020〜2022年にはJICA草の根技術協力事業を通じて研修体制を強化し、技術水準とサービス品質の標準化を推進。現在は14名の男女指圧師が所属し、商業的に成立する就労型ソーシャルビジネスとして運営を継続しています。

【活動キーワード】視覚障がい者の専門職育成/職業訓練モデル構築/技術移転と標準化/カリキュラム・教材開発/JICA連携/就労型ソーシャルビジネス/ブランド運営/社会包摂モデル

聴覚障がい・発達障がいのある女性が活躍するネイルサロンの運営(障がい者分野)

Thusare Lights Up|聴覚・発達障がい女性によるネイルサロン

【概要】聴覚障がい・発達障がいのある女性の自立を目指し、美容分野での就労モデルを構築

【背景】スリランカでは、聴覚障がいや発達障がいのある女性は、教育機会や職業訓練へのアクセスがさらに限られ、家庭内にとどまらざるを得ないケースも少なくありません。特に都市部以外では、障がい女性の就労機会は極めて限定的であり、基礎教育、技能習得から就労までを一体で支える仕組みと受け皿となる組織が不足しています。

【目標】美容分野での就労を希望する聴覚障がい・発達障がいのある女性が、安心して技能を習得し、専門職として安定的に収入を得られる持続可能な就労モデルの構築を目標としています。あわせて、女性の社会参加と自己肯定感の向上を促す環境づくりを目指しています。

【事業展開】日本のネイル分野の専門家・企業と連携し、基礎技術研修、接客訓練、衛生管理指導を実施。障がい特性に配慮した段階的トレーニングを設計し、実践経験を積める体制を整えています。現在はネイルサロン「Thusare Lights Up」として事業を展開し、顧客対応を通じて技術向上と収益確保の両立を図っています。指圧事業で培ったブランド運営や品質管理のノウハウも活用し、商業的に成立する就労型ソーシャルビジネスとして育成を進めています。

【活動キーワード】聴覚障がい女性の就労支援/発達障がい特性に配慮した職業訓練/ネイル技術教育/女性の社会参加促進/就労型ソーシャルビジネス/サービス品質管理/ブランド育成/インクルーシブ雇用モデル

負の建築資源を活用した地域ツーリズム振興(建築分野)

Line House Project|旧紅茶農園長屋の再生と地域ツーリズム

【概要】衰退した紅茶農園地域の再生を目指し、歴史的建築資源を活用した地域循環型ツーリズムモデルを構築

【背景】スリランカ中央高地のバウラーナ村では、紅茶農園の閉鎖以降、プランテーション労働者(主にタミル人)の生活基盤が弱体化し、貧困と人口流出が進行しています。築100年以上の歴史的長屋(Line House)は維持管理が困難となり、空き家や未修繕家屋が増加するなど、建築資源が「負の資産」と化す状況が続いています。

【目標】歴史的建築資源を地域経済の再生装置へと転換し、居住者と来訪者をつなぐ持続可能な地域ツーリズムモデルを構築することを目標としています。建築再生を通じて、文化継承と生活向上を同時に実現することを目指しています。

【事業展開】日本の建築専門家(京都大学 前田研究室)と連携し、旧紅茶農園長屋(Line House)を地域ツーリズム拠点として再生。居住者や近隣住民と協働しながら、紅茶摘み体験や生活に根差したタミル文化体験を含む滞在型プログラムを設計しています。得られた収益は長屋の維持管理や地域活動へ還元し、建築保存と地域経済循環を両立する仕組みを構築しています。単なる保存ではなく、「活用による保存」を軸とした研究×実践モデルです。

【活動キーワード】歴史的建築再生/Line House再生モデル/負の建築資源の転換/地域循環型ツーリズム/タミル文化継承/参加型建築再生/滞在型体験設計/文化資源活用型地域開発

バナナ繊維のアップサイクルブランド「MUSACO」の展開(クラフト分野)

MUSACO|バナナ繊維アップサイクルクラフト


【概要】障がい者と女性の所得向上を目指し、廃棄資源を活用したアップサイクル型クラフト事業モデルを構築

【背景】スリランカでは、農業副産物や廃棄素材が十分に活用されないまま廃棄されるケースが多く、農村部では女性や障がい者の安定的な就労機会も限られています。ケゴール地域では、バナナの仮茎(バナナファイバー)が未利用資源として放置されており、資源循環と雇用創出を結びつける仕組みが求められていました。

【目標】未利用農業資源を活用したアップサイクル型クラフト事業を通じて、女性や障がい者の安定的な収入機会を創出し、地域内で循環する小規模生産モデルを確立することを目標としています。

【事業展開】2012年より現地NGOが開始したMusacoプロジェクトを継承し、バナナファイバーを活用したハンドメイド製品の製作・販売を支援。女性グループと並走しながら、組織運営の強化、品質向上、商品開発、ブランド構築を進めています。日本では展示会販売や企業ノベルティ制作などを通じて市場開拓を行い、持続可能な販売チャネルの確立を図っています。環境配慮型素材と手仕事の価値を融合させた、小規模分散型のソーシャルビジネスモデルです。

【活動キーワード】バナナファイバー活用/農業副産物の資源化/アップサイクル事業/女性・障がい者雇用/クラフト技術向上/小規模生産モデル/ブランド育成/日スリランカ連携販売

牛銀行方式による小規模酪農の普及(酪農分野)

牛銀行プロジェクト|小規模酪農と循環型農村モデル

【概要】紅茶生産地の貧困解消を目指し、循環型農業と小規模酪農を組み合わせた地域自立モデルを構築

【背景】中央高地バウラーナ村および近隣のコラビッサ村では、紅茶プランテーションの衰退以降、労働者の子孫世帯の多くが不安定な生活を強いられています。冷涼な気候を活かした小規模酪農は新たな生計手段となり得ますが、乳牛は高額であり、初期投資の壁が参入障壁となっていました。

【目標】乳牛の循環的貸与モデルを通じて、持続可能な小規模酪農の普及と地域内経済循環を実現することを目標としています。あわせて、酪農と有機農業を接続し、農村全体の生産基盤強化を図ります。

【事業展開】乳牛を希望世帯に貸与し、繁殖後に子牛を次世帯へ引き継ぐ「牛銀行方式」を導入。飼養技術研修や牛舎建設支援を組み合わせ、単なる配布ではなく持続可能な仕組みとして設計しています。牛ふんは堆肥として活用し、循環型農業と連動。酪農を起点とした収入向上と土壌改良の両立を図る、地域循環型の農村開発モデルです。

【活動キーワード】牛銀行方式/小規模酪農モデル/乳牛循環貸与制度/中山間地農村開発/循環型農業連携/堆肥活用による土壌改良/生計向上支援/制度設計型ソーシャルビジネス

津波・内戦被災地における自助グループによる女性支援(女性分野)

女性自助グループ支援|被災地女性の生計向上活動

【概要】被災地女性の経済的自立を目指し、自助グループによる貯蓄・起業支援モデルを構築

【背景】スリランカ東部州バッティカロアは、長年の内戦に加え、2004年のスマトラ沖津波の被害を受けた地域です。夫を失った女性や家族を支える女性が多く、生活基盤の脆弱さと社会的孤立が深刻な課題となっていました。外部支援に依存しない持続可能な生計向上の仕組みづくりが求められていました。

【目標】女性たちが主体となって貯蓄・起業・相互学習を行う「自助グループ(Self Help Group:SHG)」を形成し、経済的自立と社会参加を促進することを目標としました。外部支援を最小限にとどめ、女性自身の力を引き出す地域主導型モデルの構築を目指しました。

【事業展開】UN-Habitatとの連携のもと、バッティカロア郡エラヴール・パットゥ地域において複数の女性自助グループを設立。グループ単位での定期貯蓄、スモールビジネスの立ち上げ(農作物加工、家畜飼育、小規模商店、洋裁等)、ライフスキル研修を実施しました。資金提供だけでなく、技術助言や関係機関との調整を行いながら、女性たちが自ら意思決定し、運営する体制を構築しました。

【活動キーワード】内戦・津波被災地支援/女性自助グループ(SHG)形成/貯蓄活動/マイクロビジネス育成/ライフスキルトレーニング/女性の経済的エンパワメント/地域主導型復興モデル

僻地農村における教育環境の向上支援(教育分野)

僻地教育支援プロジェクト|農村部の教育環境改善

【概要】教育格差の是正を目指し、地域ニーズに基づく柔軟な教育支援モデルを構築

【背景】スリランカでは公教育の枠組み自体は一定整っていますが、都市部と僻地農村(交通アクセスの悪い地域、プランテーション地域、内戦の影響を受けた地域など)の教育格差が大きな課題です。僻地では教員不足で授業が成立しないことがあり、制服や教科書代などの負担で就学が途切れる子どももいます。貧困世帯では家計の多くが食費に充てられ、教育への支出余力が小さいことも格差固定の背景にあります。

【目標】学校に「学べる最低条件(教室・机、衛生、飲料水)」と「学びの機会(補講・英語・子ども会等)」を整え、地域の事情に合った支援設計で、就学継続と学習環境の底上げにつなげることを目標としています。

【事業展開】現地行政・学校・保護者と対話し、限られた資源で効果が出る支援を組み立ててきました。支援は「ハード(校舎新設・修繕、井戸/トイレ/雨水タンク等の水衛生インフラ、文房具・PC・メガネ配布など)」と「ソフト(英語クラスや補講、環境・衛生・防災教育、就学支援、必要に応じた人材/先生の支援等)」を状況に応じて組み合わせ、住民参加も取り入れながら進めるのが特徴です。

【活動キーワード】教育格差(都市部×僻地)/参加型の教育支援設計/校舎・幼稚園の新設・修繕/水・衛生インフラ整備(井戸・トイレ・雨水タンク等)/学用品・ICT機材支援/視力検査・メガネ配布/英語クラス・補講・子ども会/環境・衛生・防災教育

環境保全や持続的な環境技術の普及事業(環境分野)

環境技術普及プロジェクト|適正技術と持続可能な環境保全

【概要】貧困課題と環境保全の両立を目指し、適正技術と経済循環を組み合わせた環境改善モデルを構築

【背景】スリランカは生物多様性に富む一方で、森林減少、水・大気汚染、廃棄物問題、野生動物との軋轢、気候変動による洪水や干ばつなど、多層的な環境課題を抱えています。これらの問題は単なる環境管理の不足だけでなく、貧困や雇用不安と結びついており、生活課題と環境課題が同時に存在している点が特徴です。

【目標】環境保全を「規制」や「啓発」にとどめず、地域の生活向上と両立する持続可能な仕組みとして設計することを目標としています。現地に適した技術や制度を導入し、経済的合理性と環境価値を両立させるソーシャルビジネス型モデルの構築を目指します。

【事業展開】廃棄物の資源化や適正技術の導入、再生可能エネルギーや分散型電源の実証など、現地の文脈に合った環境技術の活用を検討・推進しています。単なる技術移転ではなく、日本や他国の技術を現地仕様に再設計し、事業として自立可能な形に落とし込むことを重視しています。貧困層を含むBOP層の参加を前提としたモデル構築も重要なテーマです。

【活動キーワード】適正技術導入/廃棄物の資源化/土壌・水環境保全/分散型エネルギー/再生可能エネルギー実証/BOPビジネス設計/環境×生計向上モデル/ソーシャルビジネス型環境アプローチ

●地域開発(日本)

仮設住宅の住環境改善支援(建築分野)

仮設住宅住環境改善プロジェクト|断熱改修と生活環境向上

【概要】被災者の仮設住宅での生活環境向上を目指し、適正技術を活用した住環境改善モデルを構築

【背景】東日本大震災(2011年)では、広域かつ甚大な被害により、多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされました。しかし、仮設住宅は断熱性能や設備面で課題が多く、寒冷地である東北の気候に十分対応していないケースも見られました。過去の震災でも指摘されてきた「仮設住宅の住環境問題」が、再び顕在化しました。

【目標】限られた予算と資材の中で、被災者の生活環境を実質的に改善できる「現場起点の住環境改善モデル」を構築することを目標としました。専門家の知見と住民の声を組み合わせ、再現可能な改善手法として整理・共有することも重視しました。

【事業展開】建築・環境工学の専門家と連携し、安価で入手しやすい素材を用いた断熱改修手法を開発。資材メーカー、建築学生、ボランティアと協働しながら施工支援を実施しました。断熱対策にとどまらず、収納改善、庇の設置、ごみ集積所整備、ウッドデッキ設置、共同農園づくり、夏季の暑さ対策など、生活の質向上につながる取り組みを段階的に展開。住民参加型で実証と改善を重ね、ノウハウの蓄積と共有を行いました。

【活動キーワード】仮設住宅の住環境改善/断熱性能向上/適正技術活用/住民参加型改修/共有空間デザイン/災害後の生活再建支援/建築専門家・学生連携/実証型改善モデル

宮城県における復興支援・交流イベントの実施(コミュニティ分野)

宮城復興コミュニティ支援|交流イベントと地域再生

【概要】被災地コミュニティの再生を目指し、交流と参加を軸としたイベントを立案・実施

【背景】東日本大震災から約1年が経過し、被災地域のニーズは「安全の確保」や「住まいの整備」から、「生活の質の回復」や「コミュニティの再生」へと移行していきました。仮設住宅での長期生活が現実となる中で、分断された地域のつながりを取り戻し、人と人が再び出会い、語り合える場づくりが求められていました。

【目標】被災地域において、住民同士が再びつながる機会を創出し、仮設住宅での生活を少しでも心地よいものにすることを目標としました。また、外部からの支援に依存するのではなく、地域住民と学生・ボランティアが協働する形で、持続的な交流の仕組みを育てることを目指しました。

【事業展開】2012年4月から2014年にかけて、宮城県気仙沼市・石巻市を中心に活動を実施。仮設住宅周辺での交流イベント「あかりカフェ」や「いしのまきあかりシネマ」など、夜のイベントを含む多様な交流機会を創出しました。仮設集会所の整備や家庭菜園づくりにも住民と共に取り組み、地域のお祭りとの企画連携も実施。活動は小さな試みから始まりましたが、次第に多くの住民や学生が参加する取り組みへと広がりました。そこで生まれた出会いと対話の積み重ねが、地域復興の土台となることを願い、記録として共有しています。

【活動キーワード】コミュニティ再生/仮設住宅支援/あかりカフェ/いしのまきあかりシネマ/夜間交流イベント/仮設集会所整備/家庭菜園づくり/学生と地域住民の協働

●災害支援(スリランカ)

スマトラ沖津波支援(20052009

スマトラ沖津波支援|災害復興と支援の検証

【概要】大規模災害現場における支援の適正化を目指し、ニーズ主導型支援の基盤を形成

【背景】2004年12月、インドネシア・スマトラ沖で発生したマグニチュード9.0の地震により、インド洋沿岸諸国を巨大津波が襲いました。スリランカでは約3万人が死亡し、約8万世帯が住居を失う未曾有の被害となりました。世界中から巨額の支援が集まる一方で、支援物資の偏在や情報不足、被災者への配慮の欠如など、「善意が届かない」現実も数多く存在していました。

【目標】緊急支援にとどまらず、「支援とは何か」を問い直しながら、被災者の尊厳と自立を損なわない復興支援の在り方を模索することを目標としました。単なる物資配布ではなく、地域と共に歩む支援の形を探ることを重視しました。

【事業展開】発災直後より現地NGOと連携し、物資支援、避難所訪問、子ども向けのレクリエーション活動、情報収集などを実施。任意団体(※アプカスは2008年にNPO法人化)として義援金募集を開始し、現場のニーズに応じた支援を行いました。
被災地では、物資の分配バランス、100m建築規制問題、学校再開支援、二次的被災者の課題、援助依存の発生など、復興の複雑さを目の当たりにしました。この経験は、その後のAPCASの「自立型・共創型支援モデル」へとつながる原体験となっています。

【活動キーワード】緊急支援から復興支援への移行/自立を損なわない支援/援助依存への問題提起/被災者の尊厳配慮/現場主義/支援の再設計

中部州地滑り被災地支援(20072012

中部州地すべり被災地支援|参加型復興と住宅再建

【概要】世間に注目されない「名もなき災害被災地」の生活再建を目指し、参加型復興支援モデルを構築

【背景】2007年1月、スリランカ中部州ワラパネ郡で大雨を原因とする大規模な地すべり災害が発生しました。16名が亡くなり、約800軒が全半壊、約3,900世帯が避難生活を強いられました。再発リスクの高い地域では帰還が認められず、水や生活基盤の整わない土地への移転が進められました。しかし、この災害はインド洋大津波の影に隠れ、国内外からの支援がほとんど届かない「名もなき災害」となりました。

【目標】孤立した被災地に対し、短期的な物資支援にとどまらず、住環境の再建と生活再建を両立させる中長期的な復興モデルを構築することを目標としました。また、被災者自身が主体となる参加型復興の枠組みづくりを重視しました。

【事業展開】発災直後より現地に入り、継続支援を決意。APCASとして法人化し、約5年間にわたり活動を実施しました。
トイレ建設や衛生改善、教育支援、仮設住宅建設、移転住宅の建設支援、さらには中山間地の特性を活かした生計向上支援まで、ニーズの変化に応じて活動を展開しました。
復興住宅ではセルフビルドの考え方を取り入れ、住民参加型での建設を支援。単なる「与える復興」ではなく、「共につくる復興」を実践しました。

【活動キーワード】災害緊急支援/名もなき災害への対応/参加型復興支援/セルフビルド住宅/衛生改善/教育支援/中山間地の生計向上/長期伴走型支援

内戦・洪水被災地支援(2009~2011

内戦・洪水被災地支援|緊急物資と生計向上支援

【概要】紛争・災害複合地域の安定化を目指し、緊急支援と生計回復を組み合わせた支援をパートナーNGOと実施

【背景】内戦終結直後のスリランカでは、多数の国内避難民(IDP)がキャンプ生活を続ける中、2010年末の豪雨により大規模洪水が発生。多民族が混在する東部地域で深刻な被害が生じました。

【目標】緊急支援と同時に、民族間バランスや平和構築の視点を踏まえた復興支援を行うことを目標としました。

【事業展開】パートナーNGOと共に子どもへの緊急物資支援、学用品配布、子ども会運営による心理社会的ケア、生計向上支援を実施。洪水多発地域では、耐久性の高い住宅支援の検討も行いました。支援対象地域の民族構成を踏まえ、公平性に配慮した事業設計を行いました。

【活動キーワード】IDP支援/洪水復興支援/心理社会的ケア/多民族配慮型支援/平和構築視点/耐災害住宅支援

●災害支援(日本)

東日本大震災緊急支援活動(2011

東日本大震災緊急支援|物資支援とニーズ調整活動

【概要】支援の届きにくい地域や避難所を対象に、ニーズ主導型の柔軟な緊急支援モデルを実践

【背景】2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東北沿岸部を中心に甚大な被害が生じました。発災直後は物資不足や情報混乱が続き、地域によって支援の偏在が発生していました。特に石巻、南三陸町、気仙沼市周辺では、支援が届きにくい避難所や地域が存在していました。

【目標】被災地間の支援ギャップを埋め、ニーズに即した物資支援を迅速に行うことを目標としました。また、物資ニーズの変化を記録し、今後の災害対応に活かすことも重視しました。

【事業展開】PARCIC、IVY、いしのまき環境ネット、酪農学園大学等と連携し、現地調査に基づく物資配布を実施。支援が届きにくい避難所や地域を重点的に訪問し、刻々と変化するニーズに応じた物資調達・配送を行いました。
当時の活動記録と共に、災害初期から数週間・数か月後にかけて変化する物資ニーズの分析も共有しています。

【活動キーワード】国内災害緊急支援/地域間支援ギャップ解消/ニーズアセスメント/連携型支援モデル/物資ニーズ変化の記録/東北沿岸支援