【Voice】工事監理ときどき調査

【20150320 長屋再生の現場から⑥ 工事監理ときどき調査】

 工事現場の監理のあいまを縫って、長屋の調査も進めています。

 130年以上の歴史を持つ長屋が、住民によってこれまでどのように住まわれてきたか、家族の生活と住居の履歴のようなものを調べています。公式の文書のようなものはもちろん残っていないので、住民の記憶と証言だけが頼りなのですが、これがなかなか難しい 笑。

 人間の記憶は曖昧ですし、しかも100年以上という長い歴史を持つ長屋について、正確な情報を得るためには工夫が必要です。そのための工夫の一つとして、家系図や住居の間取り図が威力を発揮します。

 以前に訪れた時に調べた家系図や住居の間取りを図面化したものを今回持参し、それらを住民と一緒にみながら、あーだ、こーだ、いいあいます。例えば、長屋に住む90歳のおじいさん(!)が、「この部屋の壁を取っ払ったのは、3番目の息子が生まれた時で、当時の生活の地域の状況は・・・・」、といった具合です。

 家族の節目や住居の増改築とあわせて生活や地域の変化などが記憶されている場合が多く、日本の民家の調査などでもよく用いられるこの調査手法、スリランカでも有効であることが確かめられました。

 ただ、日本と少し異なるのは、調査をはじめると、親戚やきょうだい、近所の子どもたち集まって来て、部屋が人でいっぱいになるところです。あと、調査のあいだ、人間だけでなく、犬や猫、鳥など、いろんな動物が家のなかに入ってきて、とにかく賑やかです 笑。(前田)