【Voice】長屋の長老へのインタビュー

長屋の歴史を知る世代の話は貴重です

 ツアーの案内役であるコンシェルジュ(地元の若年世代の若者から選抜)が、オプションツアーづくりの一環として、長屋の歴史や昔の生活スタイルについて長老より聞き取りを行っていたところ、想定外に「昔は楽しかった」という言葉が多く出てきた。

 長屋での生活は、劣悪な環境で厳しい労働を毎日強いられ、とても大変だったという類の話が、一般的な「紅茶プランテーション・長屋での生活」に対するステレオタイプである。実際、まだ若い候補生たちもそのようなイメージしか持ってなかったし、スリランカ人スタッフ、日本人スタッフもそのように思っていた。

 しかし、その歴史を生き抜いてきた長老は、「大変だった、苦しかった」という言葉よりも「楽しかった」という言葉を使い、当時を回顧していたことに皆で驚いた。当然、大変なことは沢山あったであろうが、それでも多くの人がいて、賑やかに過ごしたあの日々のことを自らの原風景として懐かしく思い出している長老の姿。明らかに今の方が、家も広くなり、家電もそろい、便利になっていると思うが、長老にとってはそれが「豊かさ」とは直結していないのかもしれない。

 候補生にとってはその意味がまだまだ理解できないかもしれないが、日本人スタッフは特にその意味を考えさせられた機会だった。